中華モンキーカイゼン記 1話 納車整備編
唸れロンシン89cc!弾けろ中華電装!
新たに中華モンキーを買いました。
まあ、見た目でわかる人には「あぁ、あの4miniのmotorcycle専門のお店のアレね」ってなると思いますが…。
僕はガチャガチャしたチンドン屋仕様よりも、ノスタルジックなフルノーマル風モンゴリが好み。
中華モンキーというと、ステダン・オイルクーラー・ロンスイ・10インチは当たり前という俗に言う「フルカスタム仕様」がイメージとしてありますが…。
僕のような懐古趣味にも応じた中華モンキーがあるのです。
それがこのZ50A風の中華リジッドモンキー。
フルノーマル風な見た目がなかなかイケてるでしょ?
これで10万円。
本物に乗ってる人からは文句を言われそうなステッカーとかエンブレムを既に貼ってますが、Z50J-Ⅲのゴリラをちゃんと持ってるから許して。
購入から100km程度乗りましたが、色々言えることとして…
・エンジン腰上周りとかキャブ周りとか駆動系周りの締め付けトルクが滅茶苦茶(基本的にゆるゆる)
・ブレーキが死ぬほど引きずってた
・電装系の位置がムカつく(スペースがないのはわかるけどCDIとマフラーの位置が…)
・ありえんほどローギアなスプロケ(ギア比2.642)
・どうもドン付きまで踏んでもグニャッとくる変なブレーキ
・やたらと重たいクラッチ
・はめあい部品のチリのガバガバさ
・工具をぶつけるどころか爪で引っ掻くだけでも剥がれ始める脆い塗装
・光の速さで壊れる電装系
以外の不満は特に無いです。
走ることに関しては何の問題もないですね。ブレーキ終わってるけど。
本物も同時保有してて、かつ本物のレストアを経験したからこその文句はたくさんありますが、逆に言うとそれだけの改善の余地がある。
つまり、弄り甲斐があるマシンというわけです。
その弄り甲斐が非常にたのしい。
ここまで書いて、まだ「いいじゃん、中華モンキー。欲しいなぁ。」と思える変わり種マシンを求めてる方はこれからの中華モンキーシリーズをお楽しみに。
そうじゃ無い人は素人さんお断りな記事ばっかりになると思いますので、適度に引いてください。
ブワァーっと言いましたが、現時点でカイゼンできた点についてひとつづつ噛み砕いていきます。
・エンジン腰上周りとかキャブ周りとか駆動系周りの締め付けトルクが滅茶苦茶(基本的にゆるゆる)
これが一番怖い点。
エンジンですが、実はキャブ調整無しの箱出しキック二発で始動しました。
が…。どうもアイドル中にブスブス言います。
これはキャブセットが出てないとかそんなんじゃなくて、ラムエアを吸い込んでいる時の症状。
まさかと思ってインマニ〜キャブレターのボルトを増し締めしてみると、ボルトが2回転近くまわりました。
おそらく…組み立ての際はやさしいトルクの電動工具で適当に組み付けてるだけのような気がします。
一応、怖いのでエンジンのシリンダーヘッドのナットも増し締め…もちろん14Nmで…を行ったら、10Nm前後でしか締まっていなかった。
腰下回りはメンドイので手をつけてないのですが、不安は残ります。まあラムエアを吸う症状は無くなったので良しとします。
あと。そのへんをしっかりした上でキャブセットをしても、レギュラーガソリンを入れた時点でどうも失火…というか、点火タイミングがおかしいようなエンジンの動きをしてます。
騙し騙し、ハイオクで走らせたらいい感じになりました…。まさかのハイオク仕様?変なハイカムハイコンプ仕様だったりする?
中身はやっぱりめんどくさいので見ません。知らんけど。
あと当たり前にカムチェーンテンショナープッシュロッドヘッドゴムは日本製に交換しました。これに関しては中華エンジンのド定番なので…。
・ブレーキが死ぬほど引きずってた
普通に走ってしまうので気づかないのですが、箱出しの状態でブレーキがゴリゴリに当たってます。
まあ慣らしが出来たのでよし…としますが、
走行前にブレーキ調整は絶対必要です。
・電装系の位置がムカつく
隠しようがほとんど無いネイキッド具合。
でも…
CDIがここなのは少し怖い。
マフラーの熱もそうだし、タイヤから水やら泥の巻きあげが非常に多い(であろう)場所です。
タンク前に移設しました。
ほかにも、おそらく他車種流用のクソ長いハーネスの纏め方がムカつきます。
写真を撮る間もなくタンク下に隠しました…。
もう、イラッとしてビフォーの写真を撮る前に改善してしまうので、タイトルの「カイゼン記」とは…?と自分でも思ってるんですが…。
シート下の配線も隠しました。
隠さないと、この配線がフレームに沿ってる状態になって非常にみっともない…。
・ありえんほどローギアなスプロケ(ギア比2.642)
一目見てわかりますが、超デカい謎スプロケ。
しかも肉抜き無しで超重たい。というかビジュアル的にアレ。農機具かよ。
比較すると…
ゴリラ(フルノーマル50cc)
14丁:29丁=2.071
中華モンキー(89cc 4MT)
14丁:37丁=2.642
トルクフルなエンジン積んでるくせに死ぬほどローギアです。
この状態で試しに4速発進をしてみましたが、余裕です。
普通に1速発進をしようものなら明日の青空を仰げます。
しかも謎にハイスロなのでスロットルワークが激ムズ。
スピードを伸ばしたいというよりも、トルクを殺したい目的でスプロケットをハイギアード化しました。
まああらかた予想通り。モンキー用の420スプロケットポン付けです。
今時は428サイズなのに…。
変更したスプロケは16丁:33丁=2.063。
50ccゴリラと同じギア比ですが、かなりマイルドになりました。
それでもまだトルクフル。2速発進余裕。
一応ギア交換後の最高速は、よわkm/hは出ます。
サスの頼りなさがヤバいのでそれ以上は危険。
恐らく車重が58kg前後しかないくせに90ccのエンジンを積んでるから、素人が乗り回せる乗り物ではないです。
もっとハイギアにしたい人は17丁つけましょう。
17丁つけた状態はこれ。
CDIとエンジンブロックとの干渉具合があぶないのでおすすめはしません。自己責任で。
あと。この時は気付いてなかったのですがチェーンラインが絶望的に出ていません。
たぶん20mm近くズレてる。
新しいスプロケにして100kmぐらい走ってからチェーンを清掃しましたが、
こんな調子。こりゃいかん。
これではチェーンを痛めつける上に、新しい国産チェーンに変えても同じことになるのは容易に想像できます。
これに関してはモノのバラツキがあると思うのでなんとも言えませんが、
僕はアクスルシャフトのブレーキ側にM12ワッシャーを2枚追加して調整しました。
・ドン付きまで踏んでもグニャッとくる変なブレーキ
とにかくブレーキの信頼感がゼロです。
レバー比がおかしい?可動部のグリスアップが足りない?ドラムの仕上げが悪い?
要因は全部です。
リアのブレーキペダル側のリーチは本物の半分ほど。
これは、腰下がデブい中華エンジンとの干渉の兼ね合いがあるので仕方がないのです…。
そして、カムのグリスアップもされていません。
ドラムの仕上げ面もメチャクチャです。荒仕上げで終わってる。
なによりも一番ヤバいのが、ブレーキシュー。
ライニングが爪で剥がれます。
こんなものに命は預けれません。
同じ中華製ではありますが、日本の販売元より発売されているブレーキシューに交換しました。
ついでに純正互換のブレーキペダルも買いました…が、やはり腰下がデブいのとリーチが長すぎて可動域が狭い。そもそもシャフトの幅も違うので、かなりの加工が必要です。
これについては別途記録にするつもり…。
でも、このブレーキシューでかなりマシ…というか、やっとまともに効くブレーキになりました。
・やたらと重たいクラッチ
下手したらリッターSSの油圧クラッチよりも重たい。
要員らしき点を挙げると、
・クラッチケーブルの取り回しが無理やり
・ケーブルのアウター、インナー間に油が入ってない
・クラッチカムの可動部にグリスが塗られていない
ここです。
これがデカイ。
しかも、カバーの内側のパッキンは驚きのレス仕様。
雨の日に走るとクラッチの稼働箇所死ぬよ!
シャーシグリスを塗りたいところですが、パッキンレス。
ゴミが入ってシャーシグリスに付着するとダルいので、こまめにメンテルーブをさすことにしました。
パッキンを買えばいい?ごもっとも…
また買います…
・はめあい部品(ライト)のチリのガバガバさ
これを許せますか?僕は許せません。
ただ…これの要因を探ると、
・根本的に取り付け方が違う
・全くライトを支える気のないぐにゃぐにゃなライトケース
が原因。
こちらは本物のゴリラ。
カブ・モンキー系の電球交換とかで触ったことあるなら分かると思いますが、上側が爪になっていて下のネジの締め具合で光軸調整、取り付けを行います。
また、そもそもケースも頑丈です。
対して中華モンキー。普通のシールドビームライトのような3点をネジで抑える取り付け方です。
それはいいのですが、ヤワなケースがネジを締めるトルク次第で変形してしまう。
根本的にケースごと変えなければチリをなんとかすることはできません。
まあ…明らかに「うわあ中華モンキーだ」って思われそうなのはこのデカいライトなので、もう一回り小さいライトケースにまるごと交換するのが得策でしょう。
それまでは我慢。
・光の速さで壊れる電装系
こちらはウインカーのレンズの中身。
ある日、お買い物に行った帰りに突然荒ぶるウインカー。
スポット溶接でソケットが取り付けられていますが、こいつが剥がれてハイフラが発生しました。
スポット溶接機なんて持ってないし、半田は弾きまくって修理できる気配がない…困った…
と思ってたのですが、
そのへんに転がってたネオジム磁石でソケットと本体を取り付けました。
クソ硬いフロントサスペンション、リジッドシャーシの振動からどうせウインカー本体を変えたところでまたスポット溶接が剥がれるのは目に見えています。
これなら多少の振動にもフレキシブル(物理的)に対応してくれるし、何より100均のネオジム磁石で治るし、モウマンタイ。
あと、届いた当初からロービームも弾切れ。
そしてストップのダブル球も切れました。
ここまで、50kmぐらい走った時の話。
まさに、光の速さで電装系が壊れます。
と、まあ。
ここまでいっぱい書きましたが…。
やっぱりこういうのを「もー、お茶目だなあ♡」ぐらいのモチベーションで弄れる人が楽しめるおもちゃです。
タンクの塗装なんて目も当てられないし…
もちろんすぐ塗り直し。
チープな色に合わせてプラモデル用スプレーでサッと。
現時点の感想ですが、
弄るのが嫌!走りたい!って人には全くオススメできません。
ぼろぼろの本物モンキーの方がまともに動くと思います。
それよりも自分の手で創意工夫していく面白さに「キットバイク」という名前がつけられる所以であり、そんな名前で販売されているのが素人さんお断り…という点であると思います。
冒頭に書いた内容と同じですが、
ここまで書いた不満は正直走らせる上では大した問題ではありません。ほぼ自己満です。
最低限走るだけならなんの問題もありません。
実際この記事を書くまでに200kmほど走りましたが、自走不能・大きな故障による事故等は何も起きておらず、
値段…10万円で買えることを考えれば十分すぎるクオリティです。
その全てを踏まえた上で、
中華バイクはいいぞ!
…あらかた治したから、あとはちょこちょこオイル変えて壊れるのを待つのみ。